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6% ~作家で十年いきのびる方法~

「いくら書いても慣れるということがないんです。新しい小説に着手するたびに、
  ”あれ、小説ってどうやって書くんだっけ?”って判らなくなるんです・・・・・
 だから毎日、勉強してるんです」
「おもしろい小説を書くためにか」
「はい」
「幸せな男だな、お前は」




図書館の新着本棚でみつけた、鯨統一郎の自伝的エッセイ風の小説?
(本の最後に「この作品は事実を元に構想しましたが、あくまでもフィクションです。」
 とあった)

デビュー作の『邪馬台国はどこですか?』で知った作家・鯨統一郎。
歴史の解釈を取り入れた短編がおもしろくて、何冊か読みました。
が、作品のたびにコロコロ変わる作風で、「これはおもしろい!」と「これはパス」が
はっきりわかれ、読む前からパスすることもしばしば・・・・。

前作の『努力しないで作家になる方法』も未読ですが、この本とはご縁があったという
ことでしょう。

デビューまでに十七年もかかったことや、コロコロ変わる作風の真相などにも触れられて
いて、興味深い内容でした。

そして、決して幸せなことばかりではなかった作家生活の様子がつづられているのに、
この人は、周りにいるたくさんの人たちに支えられて、十年書き続けられたんだなぁ
ということが、しっかり伝わってきました。

とくに、借金で生活も苦しいのに、いつも明るく、書くことを応援し続けてくれる奥さんは
ホントに素敵な女性だと思いました♪
(まさか、この部分がフィクションではないですよね?)

そして何より、叱咤激励してくれる専務や息子の本を何冊も買う父親も含め、彼の小説を
楽しんでくれる「読者の存在あっての作家」なんだなぁと実感。

十年後の作家生存率(?)の6%には入った!
次は二十年後の0.3%に入るべく、これからもおもしろい小説、いい作品を書いていって
欲しいと思います。



作家で十年いきのびる方法

鯨 統一郎 / 光文社


by sakura-3rd | 2015-07-08 00:03 | 映画&読書